内視鏡検査が必要な食道疾患には、どんなものがあるのでしょうか?たとえば「食道がん」、「胃食道逆流症(GERD)」、「食道裂孔ヘルニア」、さらに「食道アカラシア」などさまざまな疾患が、内視鏡検査を必要とします。内視鏡室に勤務する看護師は、これらの疾患の観察ポイントを知っておくとよいでしょう。
食道がんは、胸部中部食道に好発します。男女比およそ6:1で男性に多い疾患です。年代別では60代~70代に多くみられます。観察のポイントは、粘膜の色調、光沢の異なる局面。白色調の辺縁隆起の形成などです。異常が見られたら組織を採取。顕微鏡で確認します。食道がんの範囲は、超音波内視鏡検査で確認できます。胃食道逆流症(GERD)は、下部食道括約筋の頻回の弛緩などにより、胃酸や内容物が逆流する疾患です。内視鏡での観察ポイントは、粘膜障害の有無、びらんや潰瘍の有無、そして色調の変化などです。
食道裂孔ヘルニアになると胃の一部が脱出します。症状がないこともありますが、胃食道逆流症(GERD)を起こすこともあります。観察ポイントは、GERDの有無、食道裂孔のたるみの有無になります。食道アカラシアは食道の蠕動運動障害です。下部食道括約筋の弛緩不全によって、食物の通過障害や食道の異常拡張が起こります。内視鏡での観察ポイントは、食道内腔の拡張程度、長軸の屈曲程度などです。この他にも食道静脈瘤やパレット食道など内視鏡検査を必要とする食道系の疾患があります。